映画『ズートピア』と『踊る大捜査線』

以下は一応主要なネタバレをしないように書く。

 
現在公開中の映画『ズートピア』は凄い。極めて政治的な内容ながら、説教臭さゼロのエンターテイメントにしていて、面白いし、笑えるし、かつとても泣ける。私は開始1分でもう泣いてしまった。
 
肉食動物と草食動物が仲良く暮らしている「ズートピア」だが、それは建前だけで、実際は種族間の差別が蔓延している。その中で、ウサギで初めて警官になったジュディが、手がかりのほとんどない難事件を引き受けてしまう。きちんと作られているので、物語というものに詳しい人なら先が読めてしまうのかもしれないが、私はどうなるんだろうどうなるんだろうと思いながら見ていた。
 
一番泣けるシーンは、ジュディの記者会見だ。このシーンを描くために映画が作られたと言ってもいい。とにかく泣いたシーンだった。
 
面白い映画なのだが、グーグルが「クライム映画/アクション」と表示してくるように、ハッピーハッピー見られる映画ではなくて、少し暗いシーン、怖いシーンがある。もっとも一般的なSF映画にすら到底及ばないレベルなので皆さんは気にしなくていい。
 
この映画を見ていて唯一引っかかったのは、小さな話なのだが、警官の仕事として駐車違反の取り締まりをかなり下に扱っていること。もちろん誘拐事件やスピード違反逮捕に比べるとつまらない仕事なのだろうが……。一方、映画『踊る大捜査線』はテレビでしか見たことがないが、たしか所轄が担当する小さな事件の捜査が、本庁が担当する誘拐事件の重要な手掛かりにつながるという流れがあり、カタルシスを生んでいた記憶がある。もっとも、『ズートピア』にも「人助けをして、後から報われる」という展開はあり、部分的にも全く問題はない。ただ映画を見ていてふとそんなことを思い浮かべてしまい、本筋には関係ないものの、ちょうどブログのタイトルとしてよかっただけだ。
 
 
 
『ズートピア』はものすごく良い映画なので、ぜひ見てみてくださいね。こんなに政治的な話をこんなに面白く作るディズニーはすごいし、大きな話ではかなわないなと思いました。