映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』短評 邦画と洋画(非邦画)の重大な違い

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』がTwitter上で非常に評判がいいので、見てきた。

冒頭からヤリチンとビッチが乱交を繰り広げるシーンを何度も見せつけられて、開始10分で萎えてしまった。この映画は「若草物語」のリメイクであって、「若草物語」を知っている人からしたら「あの若草物語をこう翻案したか!」という意味で評価されているようなのだが、はっきり言う。きつかった。「若草物語」の原作は小説のようなので、小説なら登場人物の心情が何倍も丁寧に描写されていたりして読めるのかもしれないが*1、映画だと右も左もわからないままイチャイチャを見せつけられるため、ついていけない。

最後の明確な翻案部分も、だから?という感じであって、それまでヘテロセクシャルの洪水を浴びせられて完全に萎えているのに、最後だけ女性の自己決定権、結婚しない生き方を強調したとしても、それまで散々男女恋愛を描いてきたくせに何言ってんだとしか思えない。物語全体としての意味で言うなら、ヤンキーが散々暴行を振るいまくって、最後だけ更生したみたいなことになってるんですよ。それを更生したヤンキー凄いと褒め称えているのが映画評論家の皆さんということです。「若草物語」は元々、男女の低俗な表層のベタベタを描いたしょうもない作品であって、しょうもない作品をちょっと良くしたところで、初めから当たり前に女性が(男性に従属した性別ではなく)人間であることを力強く肯定している作品に比べたら完全に劣っているんです。だからそういう意味で「若草物語」ファンしか楽しめない、ファンムービーと言い切ってもいいのではないでしょうか。

若草物語の著者の著作権が尊重された映画化なのかどうかは知りませんが、映画を一回見ただけの感想としてはその点についても疑問でした。あそこまで言うのだから原作は捻じ曲げられたものだという相当の事実による確信があるのでしょうけれど。

あっ、でも砂浜にいる姉妹のシーンは良かったよ。一応フォローしておきます。

 

この地雷映画を見終わって思ったのが、私にとって、洋画の地雷を避ける方法がないんじゃないかということ。邦画の場合、出演者に

AKB、乃木坂、欅坂、日向坂、ジャニーズ、EXILE、三代目、竹中直人高嶋政伸観月ありさ野際陽子

みたいなラインナップが並んでいたら、その映画がどんなにTwitterで評判が良くても、どんなに名作だと言われていても、これ絶対私の見るべき映画じゃないなとわかって見に行かずに済むんですよ。たぶん『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のキャストも上の例と似たようなものなんでしょう。でも私にはわからないんですよ。私にはキャストから映画の方向性を判断する能力がない。いやスタローンが主演してたらアクション映画かなとは思うけど(笑)そういう話ではなくて、クソ映画なのかまともなドラマ映画なのかみたいなところの境界線として、邦画なら使える判断材料が洋画(非邦画)では使えないんだなということ。それに今回気づきました。

*1:このブログを書きながら、だいぶ昔の小説なんだから青空文庫にあるんじゃないかと思ったら、あった。これを読んでから行けばよかった。https://www.aozora.gr.jp/cards/001090/card42307.html