100歩譲って政府が「女性活躍社会」をお題目に掲げるのはわかるが、しかし東工大のこれはおかしいのでは

あまり時事ネタには反応しないようにしているのですが、今回はこれを取り上げます。

東京工業大学が総合型・学校推薦型選抜で143人の「女子枠」を導入

ここでまあ「女を優遇してる!」とか言う人もいるんでしょうけれど、私の論点はそこではないです。では何が問題なのか。たいして長くない記事なのでインセルの皆さんもお付き合いください。

添付されている女子枠導入のパワーポイントを見ていくと、このような記述があるのです。

※ 志望理由書に「女性活躍社会に貢献するために東京工業大学工学院で学びたいこと、および自身の将来像」を記載。

 

また、女性が活躍できる環境調和型社会に貢献するために本学物質理工学院で学びたいこと、及び自身の将来像をふまえた志望動機を論理的かつ明快に説明する能力を評価する。

 

女子枠では以下を追加 女性活躍社会に貢献するために本学情報理工学院で学びたいことおよび自身の将来像をふまえた志望動機を論理的かつ明快に説明する能力を評価

工学院、物質理工学院、情報理工学院の女子枠では、受験生が、女性活躍社会に貢献するために学びたいことを記述しなければならないのです(理学、生命理工、環境社会理工の女子枠にはそのような記述はない)。なんで、女だけ「女性活躍」について考えなければいけないのでしょうか?

この入試の問題点としては、女子枠の女を人間として扱っていないことです。女だって人間ですから、理学や工学の分野が得意だとかやりたいことがあるとか、要するに男と同じ理由で受験するはずです。そして、自身が学んだことを社会の中で活かしていくことで自然と女性が活躍する社会が成り立つのであって、それは社会への貢献であり、「女性活躍社会」への貢献ではありません。

また、もし社会ではなくあえて「女性活躍社会」への貢献を目的としているのなら、なんで一般枠の受験生には女性活躍社会への貢献を求めないんですか?

目指すこと
・本学の学修環境を多様性のある理想的なものに近づけます。
・より多くの女性科学者・技術者を社会のさまざまな分野に輩出します。
さらに
・これを起点に波紋が広がり、本学だけでなく社会全体に、真に多様性を受容する環境が育つことを期待します。

このような目標を掲げているのなら、女子枠の導入も結構ですけれど、男を含む全受験生に女性活躍社会へ貢献する方法を考えてもらってはどうでしょうか。女性活躍なんてものは女の間で勝手に考えてろ、俺達男は知らん、ってことなら、それは全然ダイバーシティ&インクルージョンを実現するための一歩になっていないと思いますよ。

衆議院議員総選挙で女性参政権が行使されてから70年以上、土井たか子衆議院議長になってもうすぐ30年が経過しますが、未だに男女平等実現を語らないといけないのは悲しいことです。そして、100歩譲って現状の社会があまりにも女性の活躍の機会を奪っているからと「女性活躍社会」というワードが掲げられることは、時代遅れながら仕方ないと許容するとしても、「女性活躍社会」のために女子受験生は貢献しろ、「女性活躍社会」について考えるのは女だけでいいんだ、などという姿勢はさすがにおかしいと言わざるを得ません。本当は「女性活躍社会」なんてワードもおかしいんですけれどね。家庭や学校で生じる差別や暴力の根絶を通して「男女平等」を実現するべきなんですよ。

「女性活躍社会」の名のもとに強者男性が強者女性を持て囃し、時には搾取しつつこれが「活躍」だと持て囃して強者の地位を固め、弱者男性と弱者女性への差別・暴力が温存されるというのが現実の「女性活躍社会」の在り様なので、インセルはこの標語の見た目に騙されて女叩きに走らないよう頑張ってほしいです。私も頑張ります。