前原さんはなぜ「希望の党」との実質的合流を選ばざるを得なかったのか

なぜ前原さんは希望の党への合流を決めたのか。この点について多くの人が意見を述べていますが、どうやらほとんど間違っているのではないかと感じています。

 

前原さん本人の見解はこうです。

 

 

 

集団的自衛権を含む安保法制について、民進党が党方針として反対になったことが不満だったようです。これは安保法制に賛成する前原さんの感情としては正しいですが、国民の多くは安保法制を違憲だと捉えており(自民党の推薦した憲法学者までもが違憲だと言っていましたからね)安保法制の賛否についてだけで言うなら拮抗、あるいは反対の方が多いため、希望の党への合流理由としては微妙に思えます。この理由を挙げるなら「国民が安保法制を圧倒的に支持しており、それなのに民進党が反対したため」でないとおかしいのです。民進党の支持率が低い理由として正しくありません。

 

民進党の支持率が低いから政権交代のために希望の党への合流を選んだ、というのは確かでしょう。ではなぜ民進党政権交代できるほどの支持率を得られなかったのでしょうか。ネットの民進党支持層からは前原代表への批判が噴出しており、私も今回のこのやり方は問題が多いと思っていますが、それでも今回は、前原さんがこの決断をせざるを得なかった理由について説明したいと思います。

 

民進党代表交代劇について

 

 

民進党代表戦では前原さんと枝野さんが争うことになり、前原さんが圧勝しました。そういえば、この民進党代表選はなぜ起きたのでしょうか。民進党の前代表は蓮舫さんでしたね。

 

蓮舫さんはWikipediaによると2017年7月27日に党代表辞任の意向を示しています。この直接の理由としては東京都議選での議席減となっていますが、その前から「二重国籍問題」なるものがあったことを皆さんは覚えているでしょうか。前年に一時期バカなネトウヨが中国人だスパイだなどと騒ぎ始めて、その後騒動は収まったかに見えたものの、2017年になって突然また騒がれ、民進党議員からも問題視され、2017年7月18日には戸籍を公開することになったものです。戸籍を公開したものの、批判は収まらず辞任することになったという時系列になっています。そもそも蓮舫さんの国会議員への立候補、当選ともに選挙管理委員会に認められており何の問題もないのにもかかわらず戸籍を公開させられたこの事件について、私は「一部のバカなネトウヨ民進党蓮舫さんが圧力をかけられ、それを世論全体だと勘違いし、圧力に負け公開させられた」という話だと思っていました。

しかし、冷静に考えてみて、一部のバカなネトウヨを世論全体だと勘違いしてしまうような状況が日本の最大野党の党首に起きてしまうことは考えにくいのです。蓮舫さんの周りにも沢山の優秀なスタッフがいて、民進党の党員、支援者は日本国中にたくさんいて、自民党に次ぐ人やお金や動いている政党なのですから。きちんと世論を収集できているはずです。

 

小池百合子都知事選圧勝

小池百合子は「都議会解散」という公約を一番に掲げて都知事選を圧勝し、都議会を解散する素振りが全くないという滅茶苦茶な大嘘つきとして有名ですが、彼女が出た都知事選が行われたのは、舛添さんが都知事を辞めたからです。舛添さんについては、都知事就任後二年ほどはほとんど報道がなく、都知事としての手腕について評価することもできないな、マスコミが取り上げないから良いんだろうか、悪いんだろうか、と思っていたのをはっきり覚えています。そして舛添都知事が突如やり玉に挙げられたのは「韓国学校への用地貸し出し問題」でした。保育園を言い訳にしてレイシズムを爆発させるバカなネトウヨに対しては呆れる他なく、外信という形で産経に「ソウル日本人学校もお世話になっているのだから」と書かれるほどのアホな話だったのですが、これをきっかけに様々な舛添批判が高まり、舛添は辞めることになったのです。

舛添が辞めた結果行われた都知事選では、韓国学校建設に小池百合子増田寛也が反対し、鳥越俊太郎が舛添路線を継続し賛成する立場で争われ、小池の得票率が44.49%、増田の得票率が27.40%となり、鳥越の20.56%を圧倒しました。

 

結論

小池百合子東京都知事は更に、関東大震災での朝鮮人犠牲者に対する追悼文を取りやめました。一方の前原民進党代表は、代表就任早々に北朝鮮との不可解な蜜月関係などという(拉致確定前、まだ自民党の議員も含め向こうに行っていた頃である)1999年の既に終わった話を蒸し返されています。

 

これらが意味するものは一つです。日本国民はとにかく中国、韓国、北朝鮮が嫌いであり、中国韓国北朝鮮に敵対する政治家は支持され、中国韓国北朝鮮に対しての対決姿勢が弱い政治家、中国韓国北朝鮮とつながりがあると思われる政治家は叩かれるのです。国民が政治家を評価する際に重視しているのは経済でも安保でも消費税でも原発でもなく、中国韓国北朝鮮に対してどのような態度を示しているかなのです。

 

前原さんが希望の党への合流を決めた理由は、政権交代を実現させるためです。

安倍晋三は(実質的な貢献はともかく、イメージとしては)北朝鮮拉致問題に取り組んでいる政治家として有名であり、今回の北朝鮮によるミサイル問題ではトランプに先んじて強硬姿勢を鮮明にしており(参考)、韓国による慰安婦追悼碑にも(合法的な建設に対してまで)批判するなど、ポイントを稼いでいます。

小池百合子も、上に挙げたように韓国朝鮮に対する攻撃姿勢の強い政治家であり、反中の陰謀論も主張していて、安倍政権からの政権交代が可能なポイントを稼いでいると言えるでしょう。

前原さんは、国民のレイシズムに負けたのです。日本国民は、中国韓国北朝鮮に強硬に敵対する政治家でないと支持しない。前原さんのような在日の方々に地方参政権を認めるべきという穏健保守の考え方を持っている人が代表では支持してもらえない。だから政権交代するために、レイシスト小池百合子に希望を託したのです。

民進党蓮舫さんが降ろされた時に気づくべきでした。あの時、蓮舫さんに戸籍公開を迫ったのは一部のネトウヨではなく、普通の民進党員だったのです。私は外側にいる人間なのでわかりませんが、民進党の党内ですら、所属議員に対し中国韓国北朝鮮に強硬に敵対することを要求する人が多いのではないでしょうか。当然、前原さんもそんな民進党党員の声を受け取っていて、希望の党への参加に至ったのでしょう。両院議員総会で大きな混乱に至ることもなく民進党議員がすんなり受け入れたのも、それぞれに支持者からの声を受け取っていたからかもしれません。

 

いや、ちょっと待ってくれ、国民が総ネトウヨ化しているわけがないだろう、いくらなんでも暴論だ、そう言いたい方がいると思われます。それはその通りで、国民の7割がネトウヨ化し、「良い韓国人も悪い韓国人もどちらも殺せ」と主張しているのかというと、そうではないのです。

 

政治と国民

私達国民は政治をどのように評価しているのでしょうか。実は、ニュース番組をよく見ている人ならわかると思うのですが、ある政策が提案された時、その政策が良いか悪いかについてはほぼ議員からの評価という形でしか聞くことができません。新聞を読んでいる人なら「野党からは反発が予想される」といったフレーズをよく目にしていると思います。政策の内容については深く取り上げられません。実は、新聞テレビともに政策についてプラスマイナス両面を取り上げ、どんな人にとってはプラスでどんな人にとってはマイナスか、なぜ必要とされているのか代わりに何があるのかが整理された報道を見ることはほとんどありません。なぜかはわかりませんが、そんな面倒なことをしなくても視聴率、部数が稼げていて経営に問題がないからだと私は思っています。そして、そういった説明なしに我々が政策を判断することはほぼ不可能です。私達は日々を生きるのに精一杯で、そもそも円高とか金融緩和とか憲法とか周辺事態法とか原子炉格納容器とかよくわかりません(俺はわかるぞという人は当然いると思いますが、それはあなたがわかっているだけであって、国民の多く、少なくとも7割以上の国民はわかっていません)。たまに新聞を見ても一から順を追って丁寧に解説されている記事なんてないですから、わからないままなのです。そんな我々が、この法律は不要だとか必要だとか違憲だとか権力の濫用だとか判断できるはずがありません。マスコミの言うことがとりあえずまあそうなんだろうなと思って日々を過ごすしかないのです。

 

しかし、そんな我々でも一つだけ判断できることがあります。中国韓国北朝鮮が日本ではないということです。国名が違うので、誰でもわかりますよね。そして中国人韓国人朝鮮人は日本語ではなく外国語を喋ります。ウザいです。上小阿仁村の件でわかる通り、同じ日本人ですらあいつはよそ者だとして差別、排斥してしまうのが人間なんです。日本人から見て中国人韓国人朝鮮人は、自分の周りにいて、自分の知らない言葉を喋っている奴らですからね。エイリアンです。怖いです。そんなことを思うのは一部のバカなネトウヨレイシストだけだろと思うでしょうが、自分の胸に手を当てて考えてみてください。外国語を喋る団体に遭遇した時、(んっ)と反応するはずです。「まあ違う言葉を話しているだけでしょ」と落ち着く人も、その前の段階では変だな、妙だな、という感情を経由してしまうんです。そこからエスカレートすると、どこの国の人なんだろう、日本人じゃないよね、あいつら何なんだろう、なんで日本にいるんだろう、別に日本にいなくてもいいよね、出ていってほしい、中国韓国北朝鮮に帰ってほしい、日本にいるつもりなら普通の日本人より苦しんでほしい、普通の日本人みたいに普通に生きてほしくない、そう思うんです。殺したい、とまでは思わないでしょうけど。

この負の感情だけは、政治について何もわからないほとんどの人が持っているものであり、誰でも投票の理由にできるのです。これが安倍晋三小池百合子が支持される理由であり、その他政党が国民の多くに支持されない理由なのです。

 

前原さんが「希望の党」への合流を選ばざるを得なかった理由については以上です。前原さんを批判するのは簡単ですし、実際あのやり方はどうなんだと思っています。しかし、国会議員を選んでいるのは国民です。国会議員について、お金をたくさん持っていたり、不祥事を色々起こしていたりして、国民の意見が反映されていないんじゃないか、あいつら特権階級だろ、という不満はよく聞きます。しかし、どこまで行っても国民の(良く言えば)代表、(悪く言えば)使い走りなのが国会議員なんです。愚かな国民からは、愚かな国会議員が生まれます。賢い国民からは、賢い国会議員が生まれるはずです。

 

前原さんのやり方で政権交代できるかどうかはわかりませんが、たとえ政権交代できたとしても、上に書いたような日本国民の間にひろく定着している中国韓国北朝鮮に対する差別感情を放置、推進していくわけにはいきません。そんなの嫌ですよ。これから長い時間をかけて、日本国民を正常化し、正常な国会議員を増やしていくべきです。極右の二大政党制は容認できません。皆さん、僕と共に、日本社会を少しずつでも良くしていきましょう。