『GAMBA ガンバと仲間たち』感想4 2回目を見ての感想 ボーボと潮路

この映画を1回目に見た時には、どうしても原作小説との比較という形になってしまったが、2回目の今回は小説とは切り離して見ることができた。結果として、今回のほうが素直に良い映画だと思えた気がする。今回は3Dで見たのだが、3Dとしての感想はよくわからない。飛び出るシーンは飛び出ていたけれど、ニンテンドー3DSの3Dと同じように、個人的にあまり感動はなかった。ただ、グラフィックがとても丁寧に作られていることはよくわかった。

 
『ガンバと仲間たち』では、ひょっとすると原作小説以上に、ボーボがしっかりと描かれている。傷の手当を受けながら、ガクシャがワンテンポ遅れて大丈夫だと言うシーン(つまりボーボは助からないということ!)は1回目でも泣けたが、それだけではない。忠太の説明を聞きながら島ネズミの置かれている状況に恐怖し、共感し、寄り添っていたボーボ。今までぼんやりしていたけれど、みんなの役に立てて嬉しいと話すボーボ。イタチから忠太を守り、忠太を案じながら死ぬボーボ。この作品で最も命を輝かせたのはボーボであろう。まさにそれは、僕のあるべき姿でもあると思う。
 
潮路は強い。弱気になるガンバを励ましたり、希望のソテツで自らを奮い立たせガンバを救い出したりと活躍するが、自分の父親が目の前で死にながら「持ち場に戻るのよ」と振る舞うところに一番強さを感じた。強すぎると言ってもいい。父親である忠一の強さに呼応するように、忠一の死後、より彼女は強くあろうとしたのではないだろうか。原作ではもっとおしとやかで、こんなに強くはなかった気がするのだが、忠一の死があるぶん説得力のある変更点だと感じた。
 
前の感想で、この映画には間が無いと述べたが、それはあくまで原作小説目線での感想であって、映画を映画として見るとしっかりしていることが今回わかった。ガンバがマンプクと語り合うシーンもあるし、導入部分にも時間をかけている。マンプクはいちいち面白い顔をしているし、島ネズミは同じ顔ではなく子どもや老人が多いことがわかる。上映中も周りから感動して泣く声が聞こえてきた。
 
不満を書くとしたら、再びの言及になるが、やはり飢えを描いていないのが残念。ノロイたちが食べ物を用意して、そこに行きたがってしまう理由として飢えがあるのに、本作では踊りでの幻惑に一本化しているため、じゃああの食べ物の山は何なんだという気分になる。宴だと言って踊っているし矛盾はないのだが……。それから、野村萬斎のセリフで何を言っているのかよくわからない部分が1箇所ある。ノロイの怪しさ、狡猾さを出す演技としては全体的にさほど問題ないだけに、音響サイドがわかるように調節してほしかったところだ。
 
マンプクはかなりネタキャラ度が強くなっているが、それがガンバを信じて笑うシーンでの本気さにつながっていて意味がある。それよりもイカサマの描かれなさが寂しい。きっちりサイを振るシーンは2回?(両方とも1・1)で、少し斜に構えただけのボーボの脇役といった格好になってしまっている。まあこれは完全に個人的な愚痴であり、映画としては問題ない範囲であろう。
 
実は1回目の時点ではこの映画をあまり良いとは思っておらず、原作ファンとして"イカサマ"をし、原作を薦めるために映画を評価するフリをしていた面があった。しかし今回見て、絵が綺麗なだけじゃなく、お話としてもまともな良い映画だということがわかった。3回目を見る機会があるかどうかはわからないが、また見てもいいという気分にはなっている。エンディング曲の雰囲気や、東京の描写に無駄に力を入れているところからすると、白組が『ガンバとカワウソの冒険』を映画化したらかなりの名作になりそうな気はするのだが、そんな機会はなさそうだ。
 
潮路と忠太でおねショタ書きたいです。