漫画『ラストピア』を読んだ。最近ハズレばかり引いていた中で出会ったわりと当たりの漫画で、いつか2巻が出たら買おうと思っている。
先に1つだけ不満を述べると、記憶喪失の主人公のもとに親戚から荷物が送られてきて、主人公は一応記憶を取り戻したいと思っているのにもかかわらず、親戚のもとに会いに行こうとしないのは変だと思う。
・親戚から、そこでゆっくりしてなさいというメッセージがある
・自分がホテルでゆっくりするつもりだったという証拠、メモか何かがある
・はっきりとは思い出せないが、親戚に嫌な目に合わされていたような気がしており、逆に記憶喪失後の今の暮らしを変えたくないという希望がある
・衣類の詰め合わせを受け取り、それについて主人公が親戚からの「ゆっくりしてなさい」というメッセージとして捉える
以上のような何かがあったほうが良かったと思う。
私はサナトリウム厨なので、この島をサナトリウムなのではないかと読んでいるのだが、どうだろう。秘密は明かされないかもしれないが、2巻以降も楽しみだ。
この漫画の魅力はなんといってもキャラクターの描き分けで、登場人物がみんなかわいいのにもかかわらず、みんなそれぞれ違っている。萌え漫画を色々読んでいて思うのは、キャラの見分けがつかなかったり、このキャラはあまり好きじゃないなとはっきりしてしまうことが意外と多いということで、そういったことのない漫画はかなり貴重な存在と言える。
本作は島のホテルを中心に繰り広げられているが、ホテルを舞台にした作品で、経営や政治性の強かった『手と手を合わせて』
手と手を合わせて (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
- 作者: 茶みらい
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2015/11/12
- メディア: コミック
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とは違い、あまりメッセージを押し出さない、優しい漫画になっている。
日常系漫画において、何らかのメッセージを強く押し出すことは可能ではあるのだが、それが癒やしを損ねたり、キャラを壊してしまっていては意味がない。例えば『幸腹グラフィティ』は実は非常にメッセージ性の強い作品ではあるのだが、しつこくならない範囲に収まっており、むしろキャラクターの魅力の一部として内包されている。
『ラストピア』のメッセージはほとんどない。しかしそれは作品の価値を減らしているわけではなく、例えば酒に酔ったリッタが思わず漏らす孤独感は、メッセージを押し出さない漫画だからこそ印象に残るところだろう。あのシーンのような酔い方を僕もするので、読みながらわかるわかると頷いていた。
笑える漫画ということはないが、ネタには一切不快感がなく、しつこさやくどさはゼロで、穏やかに楽しめる程度に作られている。百合っぽく見える場面もたまにあるが、恋愛性はない。魅力ある女の子の集まっている良い漫画だ。